価格:3,050円 |
- 概要
- 外国為替市場について(第1章~第3章)
- 時間帯,経済指標,通貨の相関(第4章~第6章)
- トレードの方針(第7章)
- テクニカル・トレード(第8章~第16章)
- ファンダメンタル・トレード(第17章~第25章)
- 通貨の特徴(第26章~第33章)
- 総評
概要
FXについて勉強するにあたり,どんな本を読んだらいいだろう?
そう問われたら,私はこの本を紹介することにする。
FXに関する書籍は数あれど,私が見た限りでは,そのほとんどは,「これを読めば誰でも勝てる!」などと威勢のいいことを謳いながら,実際には内容が薄っぺらく,二度と読む気も起きないものがほとんどだった。
そうした中,本書は異彩を放ってる。
そもそも外国為替市場とは何かということから始まり,値動きを決定づける要素,トレーダーが注目すべき点,トレーダーの心得,さらには実際のトレード手法まで,その記述の範囲は広く,そして深い。
本書は,FXの本質を教授しようとする,まさにトレーダーにとっての教科書的存在だと思う。
もちろん,本書を読めばそれだけで勝てるというものではない。
本書の内容は多岐にわたり,ひとつひとつの内容は驚くほどシンプルだ。それぞれの事項について,自分で深めていく必要があると思う。だが,本書にはトレーダーとして成長するためのヒントが散りばめられている。トレーダーとしての視座を示してくれるような書籍を,私はほかに知らない。
価格:3,050円 |
外国為替市場について(第1章~第3章)
まずは,外国為替市場とは何かということについての解説から。
株式市場と外国為替市場の比較や,外国為替市場の歴史もひも解いた解説を行っている。このあたりの内容は退屈にも思えたが,株式への投資や,貿易が為替に影響を与えるというような為替の本質論について述べている本は珍しいだろう。
このあたりの話は,ファンダメンタル分析に密接にかかわってくる。
時間帯,経済指標,通貨の相関(第4章~第6章)
FXを行う場合に意識すべき要素についての解説。
トレーダーなら当たり前に知っていることではあるが,経済指標を利益に繋げる方法など,面白い記述もある。
私が師事した先生(この言い方が適切かは知らんが)は,テクニカルに比重を置く方だから,私はこれまで,明確に経済指標を利用したトレードというものは意識して勉強してこなかった。そんな私には,とても興味深かった。
トレードの方針(第7章)
最重要かもしれない,トレードの方針について。
かなりのページを割かれて,ひとつひとつの記述は簡素ながら,とても参考になる内容だった。
トレード日誌の書き方,環境認識(レンジ相場かトレンド相場かの見極め方等),トレードの時間枠(デイトレかスイングか,それぞれどういう場面を狙うかの例),リスク管理など。
レンジとトレンドの見極め方では,ADXというテクニカル指標をみればいいと,具体的な数値まで示して極めて明瞭な解説がなされている。
テクニカル・トレード(第8章~第16章)
ここから,突然超実戦的なトレード手法の解説となる。
実は,私が本書で最も気に入っているのはここだ。
デイトレードとスイングトレードについて,それぞれ複数の手法が解説されており,とてもマネしやすい。
もちろん,検証は必要だろうが,私は本書で紹介されているボリンジャーバンドを使った日足トレードで結構勝てている。
スイングトレードに関しては,これまであまり勉強する機会がなかったので,とてもありがたかった。
ただ,あまり具体的な数値の根拠については書かれていないので,エントリーポイントになる理由の解説には納得しつつ,少しもやもやする感じもある。数値は自分で検証した方がいいような気もする。
ファンダメンタル・トレード(第17章~第25章)
ファンダメンタル分析については,私はほんとど何も知らなかった。
テクニカルばかり勉強していたからだ。
そして今後もテクニカル中心でトレードする予定だ。
そうはいっても,ファンダメンタルで相場が動くことはよくあり,何に注意すべきか知っておくことは有益であると思う。
そう意味では,何度も読む価値がある部分だといえる。
ファンダメンタルについては普段から強い関心を持っていたわけではないので,このようなまとまった情報に触れることができたのは有益だった。
通貨の特徴(第26章~第33章)
各通貨の特徴についてまとめられている。
各国の注意すべき経済指標や,その意味,着目すべき視点など,とても興味深い内容だった。
スイスフランなんて,あまりなじみのない通貨にも詳細な解説があり,面白かった。
新しい通貨ペアに挑戦しようというときに,参考になるだろう。
円の解説はしっかり読んだ方がいいかもしれない。とりあえず私は自国の通貨のこともよくわかっていなかったということがわかった。これは結構怖いことかもしれない。
総評
概要で書いた通り,全体として,FXの本質に迫る良書だと思う。
私は本書で紹介されている実戦的トレード手法が何よりもお気に入りだが,本当の基本に立ち返って学習することができる本は少ない。
FXを勉強しようというすべての人に自信を持って勧められる本だ。
お気に入り度 ★★★★★
価格:3,050円 |
次回
書評:欲望と幻想の市場 伝説の投機王リバモア [ エドウィン・ルフェーブル ] - Coomaの日記
まとめ